タイムスリップ・キス
Time4.未来へ来た理由)
今日は金曜日、本当なら学校がある日。

でも今の私に行く学校なんかない。

山田は仕事でいないんだし、行っても行かなくても別にバレるとかないけど一応外には出ようと思った。


5年後の世界がどうなってるのかちゃんと知りたくて。


制服の上に山田が貸してくれたコートを着て、とりあえずスマホを持って出掛ける。

スマホ…
連絡は全く取れそうにないんだけど。

動いてはいるけど、圏外でずっと繋がらない。
Wi-Fiも試してみたけど、エラーになって接続出来なかった。

5年前の世界から持ってきたスマホは電波障害で上手く機能しないのかもしれない。

通信できないスマホは何も役に立たないな。

おかげで頼りになるのは私の頭の中にある5年前の地図だけ。

辺りを見回しながらフラフラと歩いてみた。

昨日まで見ていた世界が、今日見たらどんな世界になっているんだろう。

「………。」

案外、道はわかるかも。

思ったより知ってる世界だ。

新しいお店とか知らない建物は増えたけど、立地に大きな変化はなくて道自体はそのままのところが多かった。

景色は変わったように見えたけど、頭の地図だけで全然平気だった。

言っても5年、こんな感じなのかも。

「…あ、公園!」

見慣れた場所に来た。

子供の頃何度も来たことのある公園の懐かしさに吸い込まれるように門をくぐった。

ちっちゃい子たちがキャッキャと声を出しながら遊んでいる。

天気もいいから気持ちよさそうだった。

隅にあったベンチに腰掛けた。

「…ここはほとんど変わってないなぁ」

ペンキで塗り直されたりはしてるけど、遊具はそのまま残ってる。

子供の頃遊んだままの遊具たち、あの頃のままだった。
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