タイムスリップ・キス
少し浮かれ気分で貰った花束を大事に抱きしめながら歩いて帰る。

冬ってあんまり花が咲くイメージなかったんだけど、ちゃんと冬に咲く花もあるんだね。

薄いピンク色の花が多くて、私のイメージはこんな感じなのかなって思うとなんだか顔がニヤけた。


それと、小西先輩のこと。


別れさせることが目標だったけど、すでに別れてるなら私何もしなくていいんだよね?

することないんだもんね!

体が軽くなった。

別れせるのが目標とは言え、抵抗はあったから。

でもこれで何も屈するものがない…!

すでに風向きいい感じなんじゃないの?

自然と足取りも軽やかになって、今日はいつもより早く家に辿り着いた。

ドアに手をかける。

すでに開いてるから山田のが先に帰って来たんだと思った。

「………。」

あれ、でも…

“そしたら2人を別れさて、付き合えるかも♡”

それって過去(いま)の私が?
それとも未来(こっち)の私が?

ガチャッとドアが開いて山田が出て来た。

「いつまで突っ立てるんだよ」

「え、気付いてたの!?」

「足音が止まったからな」

未来(こっち)の私は山田と付き合ってる。

じぃっと山田のことを見てしまった。

てかなんで山田と付き合ってるの未来(こっち)の私…!

こんな絶好のチャンスに!

信じられない…っ!!!

「なんだよ、そんな人のこと見て」

「別に!」

今度は私と山田を別れさせなきゃいけない展開なわけ!?


えーーーーーーっ

それは1ミリも予想してなかった~~~~~!


「つーかそれどうした?」

「え、これ…」

山田が私の持つ花束を指さした。

「友達にもらった」

説明するのがめんどくさくてそうゆうことにした。困ったら全部友達だ。

「こっちにそんな奴いるのかよ」

「今日出来たの」

「へぇ、別にいいけどさ。晴が花好きだなんて聞いたことないぞ」

そんなの私もないけど。
てゆーかそんな好きでもないけど。

でも、もしかしてこれを機に好きになるかもしれないし。

伊織先輩だって好きになってくれるかもしれないし。
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