タイムスリップ・キス
Time13.オムライス以外で)
未来(こっち)の世界で今日も私は朝を迎えてる。

「おー、おはよ晴」

キッチンで山田がコーヒーを入れている。インスタントの粉の入ったマグカップにお湯を注いで、スプーンでぐるぐると掻き回していた。

「お、おは…YOっ」

意識しすぎて声がひっくり返ちゃった。

「ラッパーかよ」

普通に山田にツッコミを入れられた。

…なんで、どうしたらそんなに普通でいられるの?

「そうだ、晴」

「えっ」

いちいちリアクションがうざいな自分。

「俺今日仕事になったから」

今日は日曜日、本当ならお休みだった。
でもそれを聞いて少し安心してしまった。

「帰りはいつもと一緒だと思うけど」

「うん、わかったっ」

「だから、夕飯!よろしくな!」

ニッと笑って、コーヒーを飲んだ。

山田はいつもコーヒーの香りがしてる、コーヒーは苦手だったけどなんとなく落ち着く香りだと思っていた。

「今日はオムライス以外で」

「え!?私のレパートリーもうないよ!」

「何のためのスマホかよく考えてみろ」

「そのためのスマホだったの!?」

ごくごくーっとまるでビールを飲んでいるかのようにコーヒーを流し込み、作業着に着替えて山田は出て行った。

私に買い出し用のお財布を渡して。
お小遣いいる?って聞かれたけど、それは断った。もらったとしても使うことないし、もういらないと思って。
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