タイムスリップ・キス
Time14.永遠に出来ないプラネタリウム)
少し寒かったけど、今日は天気が良かった。陽の光が明るくて空気が澄んでいた。

「で、今日どこ行くの?」

「ん?それは内緒!」

「えー、なんで?気になるじゃん!」 

家を出て駅に向かった。

そーいえばまだ未来(こっち)に来て一度も電車に乗ったことないな。
5年で電車自体が変わることはなさそうだけど、電車に乗って見える景色はだいぶ変わってそう。

「迷子になるといけないからちゃんとスマホは持っとけよ!」

「…わかってます」

ポケットに入ってることをちゃんと確認した。

もうどこにも行くとこなんてないから大丈夫だけど、ここ以外。

電車に揺られる。

2人掛けの席で山田と並んで、窓際を私に譲ってくれた。

不思議、ちょっと懐かしい気がする。

見たことあるものがたくさんの中で、たまに初めて見るものがある。

私からしたら慣れないものだけど、もうすっかり馴染んでるんだろうなぁ。

新鮮なのに懐かしい。

それはやっぱり、私には寂しく感じた。

「もうすぐ着くぞ」

「ねぇ、そろそろどこ行くか教えてよ」

「んーそうだなぁ、晴が行きたがってたところだな!」

「?」

どこだろ?私が行きたがってたところ…?

山田のあとをついて電車を降りた。 
電車は変わってないと思ってたけど駅は変わっていた。というか知らない名前の駅だった。

「え、こんな駅あったっけ?」

「去年開業したんだよ」

「めちゃっくちゃキレイな駅じゃん、しかも広いし」

「5年前から出来るって噂はあっただろ?」

「そーだっけ…?」

自分の家の事といい、区画整理の事といい、自分の興味のないことには甚だ興味がないんだよね…もう少し周りをちゃんと見た方がいいね自分。

田舎者丸出しというか、過去者丸出しでキョロキョロしながら改札を出た。

スタスタ歩く山田のあとを置いてかれないように歩いて辿り着いたのは、その目の前、駅と直結された大きな施設。

目を丸くした。

これでもかっていうくらい。

「プラネタリウムだ!!!」
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