恋のウイルス溺愛不可避
「どうしたの?」
「大丈夫?めちゃくちゃ息きれてるけど」
息を荒げて教室に駆け込んで来たのは、さっき声をかけてくれた女友達。
その目はキラキラとして、零れんばかりに見開いていて。
「明日、羽林尊(うりん みこと)くんがうちに撮影に来るんだって!」
「きゃーーーー!」
「うっっそ!?ほんとに!?」
「マジで⁉」
わっ!?悲鳴、やば‼
「信憑性は大アリ!生徒に混乱を招きかねないから極秘らしいんだけど、先生たちが話してるのをたまたま聞いた子がいるの!」
「撮影って、なんの!?」
「なんかドラマらしいよ!」
わあ、大人気。
羽林尊くん。
彼も私たちと同じ高校2年生。
ゆるくパーマのかかった赤髪がトレードマークで、男の人にしては珍しく、いつも百合の花のピアスをつけている。
御影くんと同じ「infini」の雑誌のモデルさんなんだけど、彼のメインは俳優業。
ドラマに映画に引っ張りだこだ。
人懐っこく、笑顔が絶えない根明な羽林くん。実は御影くんのお友達らしい。
タイプが真逆なふたり。
でもとっても仲が良いことは、ファンの間では有名だ。
「見学とかできるかな!?」
「わかんない!でもこんなチャンス二度とないよね!?」
「こっそり見に来る!?」
先生たちが極秘にしてるってことは、たぶん明日は一日学校に来ることは許されないはず。
今人気爆走中のモデルさん。
ドラマの撮影ってなったら、他にも有名な出演者の人はいるだろうし、そこにファンの人が殺到するのは目に見えてるもん。