私と貴方の秘密の一年間

暑い彼女と熱い教師

 え。いつから好きなのと聞かれても…………。出会った時の一目ぼれ…………という訳ではなかった気がする。もう、片思い期間を入れると多分二年。
 先生との出会いが入学式だったっけなぁ、私の、高校生初めての入学式。いい思い出がない、最悪な入学式。

「…………まぁ、恋愛感情なんていつから始まったと、判断出来るものではないか。変な事を聞いて悪いね」
「……………………いえ」

 私が先生を好きになったのは、先生の優しさに触れたからだ。これだけ言うと単純女だけど、それでも。私は先生の温もり、黒い瞳、私に触れる手。すべてが私にとって特別で、気持ちが高鳴る原因。

「まぁ、俺は一目ぼれだったけど」
「…………――――え?」
「え?」
「え?」

 お互いに顔を見合わせる。何も言えず、沈黙。いや、何か言ってください先生。今、何を言ったんですか? 一目ぼれ? 誰が、誰に? 私は一目ぼれというより、先生が私に声をかけてくださったからという理由があるのですが。

「あれ、やっぱり気づいていなかったの?」
「何がですか?」
「俺が君の事好きだって」
「…………いや、それは私が無理やりこの関係に持ち込んだからでは?」
「確かにあれは無理やりだったねぇ。まさかあそこまで強引に迫られるなんて思っていなかったよ。君も大胆だね」

 私のすぐ横に手を置き、先生は私に顔を近づかせて来る。白い歯を見せ、いたずらっ子のように笑う。

 黒く染まる瞳が、私を逃がしてくれない。
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