私と貴方の秘密の一年間

気になる彼女と焦る教師

「おう、お疲れ様――――何」
「先生…………」

 健康診断が終わった、結果も見た。何も引っかからず、普通の結果。でも、それはどうでもいい。何か引っかかていてもそれはどうでもいい。
 私が、なんでこんなに顔を青くしているのか。さすがの先生も驚きで、眉を顰めてる。

 今は音楽準備室。先生は窓を開け煙草を吸っていたみたいだけど、私が来てすぐに煙草の火を消し、窓を閉めてくれた。

「先生…………」
「だから何だよ、言ってくれねぇとわからんだろうが。もしかして体重増加したか? 誰だよ、食べても太らないとか言ったやっ――――え、マジ?」
「…………マジです…………」
「あー…………そう」
「はい」

 体重が、前回の健康診断より増えている。いつも平均より軽かったのに。いや、今も平均に近づいた程度なんだけど、太った事に変わりはない。太った、この現実が私の脳に語り掛けてくる。

 あぁ、なんで。幸せ太り? 今まで先生から幸せという養分を吸い取りすぎてリアルの体重に影響してしまったのか? 誰か、教えてくれ。

「…………でも、確かに頬の部分に少し肉付いたか?」
「うそ!?」

 まさか、顔にまで変化があるなんて!! 最悪だ、これ。もしかしたらどんどん太って行くという可能性が…………。平均何て簡単に超えてしまったり!? 最悪だ…………。
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