【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
「旦那様……」
「なんだ」
「無事に帰って来てくださって、安心しました」
 それは間違いなくオリビアの本音である。
「頭も洗いますね」
 彼の旅の疲れを全て洗い流すかのように、オリビアは丁寧に擦った。
 オリビアがクラークの身体や頭を洗っている間も、彼はただじっと座っているだけだった。
 ざざぁっと最後に湯をかけ、石鹸の泡を洗い流す。
 さすがカトリーナご推薦の石鹸だけあって、どこか野性味あふれていたクラークの匂いもさっぱりと消え去っていた。
「はい、終わりました」
「ありがとう。とても心地よかった。君は寒くないか? 一緒に湯に入るか?」
 まさか、クラークの方からそんなお誘いがあるとは思っていなかった。
 浴室に立ち込める湯気のせいかもしれない。オリビアは、ほんのりと頬が熱を帯びて、のぼせ上がるような感覚に捉われた。
「はい」
 自分から浴室に攻め込んだわりには、彼からそのように誘われると少し恥ずかしさもあった。
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