【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 望まぬ結婚であるからこそ、妻としてこの身を捧げる覚悟はできていたのに――。
 クラークはオリビアを求めようとしない。
 つまり、結婚して二年も経つが、オリビアはぺっかぺかの処女なのである。
 一緒に寝ているはずなのに、ベッドの隅と隅に離れて眠る。
 結婚してから半年経った頃、オリビアは寝ぼけた振りをして、ごろごろと寝返りを打ちながら彼にぴったりと寄り添ってみた。
 だが彼は、転がってきたオリビアの肩まで毛布をかけると、ベッドから下りてどこかへと行ってしまった。数分後に戻ってきたようだが、彼女がいる方とは反対の方向、つまりいつもオリビアが眠っている端の方で眠ろうとしていた。
 これはなかなか手強い相手である。
 オリビアもそう思っている。
 また、彼女がよく参加するお茶会では、たびたび閨事も話題にあがる。女性しか集まらないというその状況が、集まった彼女たちの口を軽くするようだ。
 閨事の話題を振られるたびに、オリビアは「さぁ」「知りませんでしたわ」「素敵ですわね」「せっかくですが」「そうなのですか」と言って誤魔化していた。
 彼女の本当の心の内は、信頼のおける友人にだけ漏らす日々。
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