【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 彼の隣にストンと腰を落とすと、テーブルの上に置かれているワインに視線を向ける。
「旦那様、こちらは?」
「君が成人したからな。一緒に飲もうと思って。君が生まれた年のワインのようだ。団長が大事にしまっておいたものだ」
 父親のことを出されてしまっては、オリビアの心も震えてしまう。
「団長は、こうやって成人した君と、このワインを飲むことを楽しみにしていたようだ」
 この国では成人を迎えた者の飲酒も法律で認められている。
 クラークがワインボトルに手を伸ばし、グラスに注ぎ入れる。
「その相手が俺で悪いが、乾杯しないか?」
 オリビアもグラスに手を伸ばす。
 首の辺りの高さまで持ち上げると、クラークは目で合図を送る。
「遅くなったが……。十八歳の誕生日、おめでとう。乾杯」
 その言葉に、オリビアも優雅に微笑んだ。
 大人の女性はここで優雅に微笑むものだと、散々カトリーナから教えてもらったことである。
「あぁ……。美味いな……」
 染み入るような声がクラークからは聞こえてくる。
 オリビアはお酒を飲んだことがない。
 何しろ、先月まで未成年だったのだ。
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