【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 陰気なクソ親父とは、オリビアから見て伯父にあたる人物。執拗に彼女を狙っていたのは、目に見えていた。アトロも気づいていた。だから、クラークにオリビアを託したのだ。
「俺は、君のことを団長から頼まれはしたが、俺はずっと君のことが好きだった。だから君には幸せになってもらいたいと、ずっとそう思っていた」
 オリビアは身じろぎもせずに、クラークの腕の中に収まっている。
「君とはずいぶん年も離れているし。だから、その……」
 クラークは恥ずかしくなり、彼女の肩に頭をコツンとのせた。
 まさか、彼女が好いてくれるとは思ってもいなかった。
 彼女の無邪気な仕草も、父親に甘えるようなものだろうと、そう思っていたのだ。
 オリビアが、クラークの頭を優しく撫でていた。
「そうやって、私のことを気遣ってくださって、ありがとうございます。私もずっとあなたのことが好きだった。だけど私は、その……。身体が貧相だし、大人っぽくないし」
 だが彼女は絶世の美少女と呼ばれている。そう、少女なのだ。いや、違う。
「俺は、結婚してからは君のことを子供だと思ったことなど、一度もない。いつでも、俺の妻だと思っていた」
「だけど。あなたは私のことを、本当の妻にはしてくださらなかった」
「だから、それは……。何度も言っているが、団長との約束があったのと。君の隣に俺は相応しくないと思っていたからで……」
「オリビアと」
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