断る――――前にもそう言ったはずだ
(今から数年間妃教育をすると考えれば、お相手はまだ若いご令嬢ってことになるわよね……)


 望ましいのは十四、五歳の令嬢だろうか。

 しかし、当然ながら大事なのは年齢だけではない。
 候補に上がるのは伯爵以上のご令嬢。見た目の美しさや教養、国への想いに加え、政治的な配慮――――父親の立ち位置なども関係する。


「殿下は現状、結婚に興味を示されていない」


 宰相が嘆息する。モニカはそっと首を傾げた。


「何故でしょう? いずれは結婚をしなければなりませんのに」


 王族であるエルネストに自由はない。結婚をし、世継ぎを残す責務が有る。
 彼だって当然、そんなことは分かっているだろう。


「分からん。
だが、王家は当然焦っている。
夜会に婚約者候補の令嬢を呼び、さり気なく出会いの場を設けているが、殿下のお眼鏡に叶う女性は居ないのだ」


 王家の憂いは宰相の憂い。モニカの父親はガックリと肩を落とした。


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