苺くんは、 蜜柑ちゃんを愛してやまない
「え!?いいの!?」

振り向いた蜜柑は、微笑み言った。
「わかってくれたなら、いいよ!
お風呂一緒に入るし、一緒に寝るし、いっぱいお話しよ?」

「うん、うん!
蜜柑ちゃーん!!」
一虎は蜜柑に抱きつき、力一杯抱き締めるのだった。

スーツを着替えた一虎は“じゃあ、電話してくるね~”と蜜柑に微笑みスマホを持ってベランダへ。
蜜柑はキッチンへ向かった。

ベランダに出た一虎。
一瞬で、雰囲気が黒く染まった。

『━━━━もしもし?イチ?』
「碧馬“くん”お疲れ様~」

『え?お、怒って…ん…の…?』
電話口で、碧馬がビビっているのがわかる。

「怒ってるよ。
貴様を、社会的に抹殺したいくらいに」

『なんで?』

「あー、貴様の女を弄んで捨てるってのもいいなぁ」

『だから!なんで、そんな怒ってんの?』

「貴様の電話のせいで、蜜柑ちゃんが口聞いてくれなくなるところだった。
で?
何の用事?
さぞかし“重要な”要件なんだろうなぁ?」

『………』

「早く言え!!」

『飲み会!!
祥生(しょうせい)(大学の時の友人)から、久しぶりに会おうって連絡きたの!
で、今会っ━━━━━』

「は?
“そんなことで”俺は、蜜柑ちゃんと口聞けなくなるところだったの?
“そんなことで”風呂一緒に入れずに、一緒に寝ることも出来なくなるところだったの?
そんな……バカみたいなことで?」

『全く、お前の状況が見えねぇから何とも言えねぇが………
なんで、電話で口聞けなくなるの?』

「………」

『イチ?』

「もう、こんなくだらないことで電話してくるな」
そう言って、ブチッと通話を切ったのだった。



「━━━━━どうだった?お仕事?」
部屋に戻ると、パタパタ…と蜜柑が近寄ってきた。

「………」
一虎は、無言で抱き締める。

「え?一虎くん?どうしたの?
なんかあったの!?
もしかして、会社で何か━━━━━ンンン…!!?」
今度は、蜜柑の口唇を塞ぐようにキスをした。

「……っ…んぁ…いち…く……」
「はぁ…ダメだよ…口唇、離さないで?」
頬を包み込み、蜜柑の口唇をなぞる。

「一虎く…どうしたの?」
「蜜柑ちゃんのためなの」

「え?」
「今、ここで蜜柑ちゃんに触れて気持ちを落ち着けないと、蜜柑ちゃんを傷つけそうなんだ……!
だから、お願い……」
「ん…わかった…」

ゆっくり目を閉じた蜜柑に、一虎は食いつくように口唇を重ねた。
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