空色のオレと海色のキミ

思い出す色



「仲村さん、そのデータ入力、今日中に終わりますか?終わらないようならこっちでも手分けします」
「大丈夫です。8割ほどは完了しています」
「そうですか。それならいいです」

せっかく気遣ってもらったのに、語尾がキツかったかな…‘大丈夫です’じゃなく‘ありがとうございます’と言った方が良かったのよね?失敗したな…

ここ渡瀬商事は輸入会社で、主に食品に特化しており、それに付随する雑貨品も輸入している。

私、仲村海は1ヶ月前に派遣社員としてここに来た。仕事内容は輸入貿易事務、物流納期管理、納品スケジュール管理が主だが、どれも社員さんのアシスタント的なもので入力作業が中心なので、特に語学力が必要というわけでもなく、求められるのはOAスキルだ。

ここの前の派遣先はアパレル会社だったが、一般事務員の募集で、同じように入力作業が中心だった。

私が派遣先を探す際、条件にしているのは‘副業OK’ということだ。私の登録している派遣会社が副業OKだし、派遣先の企業も副業を禁止していなければいい。

「終わりました。ドロップボックスに落としました」
「はい、ご苦労さん。明日以降の指示もたくさん出してあるからメールを見て、もし優先順位に迷ったら聞いて」
「わかりました。お先に失礼します」

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