脱獄

資料室

もう一度監視カメラを眺めた。

動いていないことに気づく。



なるほど……。

看守が入るために、レンズを壊したのか。

それなら入っても問題はない。

3087のボタンを押すと、扉が自動で開く。



中に入ってみれば扉が自動的に閉まった。

沢山の棚が天井目一杯まで高く聳え立ち、横に向かってずらりと並んでいる。

広くて探すのが大変そう。


棚を横に沿ってまっすぐ行き、奥まで進んでいく。

僕は、下から四番目の棚に置いてある五冊の囚人チェックリストを見つけた。

一つだけ、好奇心から手に取ってみる。


題名は『Sクラスの凶悪囚人』と書かれていた。

そのファイルの間に付箋が沢山つけられており、「danger」と書かれているところを摘む。

dangerは『危険』という意味。

つまり、船の中の囚人の中で最も危険な人物が書かれているということだ。


ペラペラとめくり、一枚のリストで止まった。

(なになに……AlmaTaylor……って、アルマくん!?)

そこにはアルマの名前が書かれており、いつも見せているはにかんだ笑顔の写真が貼ってある。

しかも殺した数は百人以上……。

「数えきれないほど殺害しているが、ほとんど遺棄したり燃やしたりしているのでほとんど証拠が残っていなかった」と書いてある。


警察では男女十数人となっているが、ほとんど捏造されたもののようだ。

権力と高い頭脳が合わさると、恐ろしいことが出来るのかもしれない。


(彼が連続殺人犯だと判明したのは最近で、うっかりしていたのかバラバラにされた女がそのままになっていた。身体に白い液体が残っており、それを調べたら初めて犯人を絞れた……か。やっぱりあいつはイカれているな……)


これ以上読むのが怖くなり、他のページも閲覧した。

他にも色々な人物が書いてあったが、ほとんど見たことない人ばかり。

唯一ぶっ倒れていたリークが、このdangerに分類されているくらいか。

気をつけないとな。



ファイルを閉じて元の場所に戻し、奥の方へ進む。


どうしよう。

お腹が空いてきた。

力が出ない。

夕飯食べたいなぁ……。
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