君の見ていた空

 僕達が絶望している時、梓ちゃんが動き出した。

 今まで隠していた顔を出して、社交性が皆無だったのが嘘のように、外に出るようになった。

 梓ちゃんは、友人じゃなく、下僕を作り始めた。周りにいる人間を駒のように動かし、役立たずは直ぐに切り捨てていた。時にはその身体能力を活かして、軽く脅して自分に従わせているような事もしているようだ。

 梓ちゃんが、凪沙ちゃんの犯人探しを本気で始めた。凪沙ちゃんの為にならない奴等は死ねば良いし、消し去ってやると、梓ちゃんの日記に書かれているのを目撃した時に、ちょっとヤベェと思った。
 梓ちゃんラブな凪沙ちゃんが、オイコラ、梓ちゃんの暴走を止めろと言ってきた気がした。
 本当にそう聞こえてきた。

 僕達は、凪沙ちゃんがそのうち目覚めるという事を確信した。
 とりあえず、梓ちゃんの暴走を止めて、殺人だけは、止めておこう。

 僕達も、凪沙ちゃんがこんなめに遭わされたのだから、ちょっと痛い目に遭ってもらう人間が複数出ても痛くも痒くもない。
 というか、本当に死ねば良いのではないだろうか?

 ウチの梓ちゃんの頭脳を良いように使っておいて、いざという時に手助けしないなんて、万死に値する。梓ちゃんが獄門組の若頭を味方につけた時には、ちょっとビビったが、ヤクザの世界で裏切りは死を意味するだろうし、梓ちゃんの頭脳もきっと良いように使ってくれるだろう。

 だって、ウチの梓ちゃん、多分、ヤクザより怖いもん。梓ちゃんなら、完全犯罪とか簡単にできちゃうし、梓ちゃんが笑えば周りの人間が何でもやってくれるはずだ。

 梓ちゃんは、天使でもあり、悪魔でもある。というか……神様だな!
 神様というのは、怒ると怖いって言うけど、ウチの梓ちゃんも怒ると怖いし!
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