君の見ていた空
 僕は、姉の事故の犯人探しを自分でする事にした。

 警察の捜査を半年間待ったが、一向に犯人逮捕の兆しがなかったからである。

 犯人なんて一目瞭然なのに、警察は権力者の前に負けたのである。

 所詮、世の中は金なのかと強く実感させられた。

 僕は、周りの大人が守ってくれているという大きな勘違いをしていた。実際のところ、頭の良いガキだった僕の頭脳に用事があったから、僕の頭脳が守られていただけであった。僕の家族や大切にしている物なんてどうでも良かったのだ。

 世の中の腐り度合いを実感して、こんな世の中なんて滅んでしまえば良いし、何もできなかった僕の無力さに絶望した。

 僕は、自分の持っている唯一の取り柄の頭脳を姉の為に使うことにした。
 姉が目覚めないのなら、姉の事故の原因となった奴等を根刮ぎ排除する事にしたのだ。
 生きている事を自分から放棄させる為に、僕は裏の世界の人間と手を結ぶ事にした。
 裏の世界の人間には裏切りは死を意味するのだろうから、僕の価値を裏の世界で証明させて、僕と手を結ばせて、裏切らせないようにさせてから、姉の復讐の手伝いをさせる計画を立てたのである。

 僕の持っている頭脳は、悪い事にだっていくらでも活用できる。たまたま、姉が平和主義者で、姉は周りの人と良く笑って過ごしていたから、僕は姉と姉の周りの人の笑顔に役立つような知識を世の中に広めていただけなのである。

 きっと、僕の事を正しく見ている人間なんて1人もいなかったのだ。
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