君がいなくなった世界

あれは悪い夢で、今日は違うかも。

私のそういう期待をよそに、通話のコール音が消える。

口から出かける「翼っ」と呼びかける声を拒否するように、昨日と同じ声が聞こえる。

「おかけになった電話番号は現在使われておりません」

いつもと同じその言葉が流れたら、もう一度電話をかけたい気持ちを抑えて、震える手で通話終了を選択する。

今日も出てくれなかった。