また、君と笑顔で会える日まで。
自分を励ましながら必死にスマホに手を伸ばす。
目の前にチカチカと火花が飛ぶ。それでもなんとか最後の力を振り絞った。

「うぅ……う……ぅ」

ようやくスマホを掴んだ時、あたしはその場で嘔吐した。
嘔吐物の中には血が混じっている。
頭が鈍器で殴られたようにガンガンと痛む。そのせいで目眩がして思考が働かない。

「もえ……な……」

画面をタップすると萌奈からLINEが届いていた。
昨日とったケーキの写真を送ってくれたようだ。
画面には17本のろうそくが立ったケーキが映っている。
【リリカちゃん お誕生日おめでとう】と書かれたチョコプレート。
あたしだけのために萌奈が用意してくれた世界にたった一つだけのケーキ。
萌奈のお母さんが作ってくれた手作りのシチュー。にんじんが星型になっていてとても可愛かった。ブロッコリーは少し苦手だったけど頑張って食べたのは秘密にしておこう。
お皿だって今まで使ったことがないようなとても素敵なデザインだった。
涙が頬を伝った。
二枚目の写真はあたしと萌奈が2人でケーキを囲んでピースをしている写真だった。
画面の中のあたしも萌奈もくったくのない笑顔を浮かべていた。
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