サキュバスの年の差@純愛物語 イリスとシオン・魔法の恋の行方・シリーズ8
その言葉に、
イリスは、がばっと身を起こした。

「絹の素材の繭ですが、
交雑種で別のものだそうです。
一度見て、交渉されてはいかがか、というご提案ですね。」

イリスが叫ぶように聞いた。
「シオン・・様から!?」

アクアが微笑んで
「ええ、直々にお手紙なんて・・
めったにないことなのですよ」

イリスは目を閉じて、唇をかみしめた。

会いたい、あの落ち着いた声が聞きたい、
手をつなぎたい、抱きしめられたい・・・

あの深い森の匂い・・・
こんな気持ちになったのは、初めてだ・・・・

サキュバスにとって、ありえない感情。

「お礼の手紙を書かなくては、いけませんね」
アクアが言うと、
イリスはすくっと、立ち上がった。

「直接、お礼をしにいく。
はちみつ酒を持っていく!!」
言い終わると、イリスは頭を抱えて座り込んだ。

拒絶されてもいい。
自分の気持ちに、落とし前をつけるためにも。
前に進むためにも。
いや、前に進むのではない、
元のサキュバスのイリスに戻るだけなのだが。
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