セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?
「ゆーあさ、俺のこと、めちゃくちゃ下手なヤツだと思ってるだろ?」
いえ…今朝まで忘れてましたけど?
「あのままでは男として終われないんだよな」
終わっていただいて結構ですけど?
「いきなり抱くとは言わない」
当然でしょ?
「もうすっかり大人だからな、俺もゆーあも。大人のデートしてから…」
「お言葉ですが…」
「ゆーあ?」
「あのまま終わっていただいても5年間元気に生きてきたので全く問題なし。今朝、顔を見ても名前も分からないくらいだったし、思い出したって元々知っているのは‘ヨウ’っていう呼び方だけだったし」
「ますます可愛くなって再会したんだから、まずは仲良くしようよ」
「お仕事でよろしくお願いします」
「そんな他人行儀な…」
「他人でしょ?」
「彼氏いるの?」
「…」
「いない?俺はいないから」
「…だから?私、彼氏も大人のデートも興味ない」
「うん?どうして?」
返答に困った私とヨウが見つめ合うのではなく、にらみ合う気配を生み出したところで
「最初にそんな意識を植え付けられたんじゃないのか?可哀想に」
聞いたことのないような男性のアンニュイな声が私に降りかかった。