セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?

「引っ越しするんですよ。だから私は超多忙なんです」

これは本当だ。今週末にやっと引っ越しをする。部屋を決めてから週末を二度、引っ越し準備に費やした。平日帰宅してからは何も準備が出来ず、スペインバルのあれから3週間での引っ越しだ。ああして部屋を提示してもらえなかったら、長期休暇まで部屋探しも出来なかったかもしれないので、江藤さんに感謝だ。

その江藤さんとは、あれから全然会っていない。あの夜‘引っ越しが決まったら連絡して’と言われたけれど、連絡を取ったことのない相手にわざわざというのも伝えにくい。

「どこ?」
「○○駅が最寄りです」
「わりと近いな」
「やっと」
「引っ越し、手伝う」
「ありがとう。でも父が車で荷物を運んでくれるので大丈夫です」
「つまらねぇ」
「はっ…?」
「ゆーあが遊んでくれないからつまらないんだよ」
「いちゃもんってやつですか?」
「言い寄ってる」
「言いがかりの間違い?」
「言葉遊びはしてくれるのになぁ…大人の遊びも頼む」
「…ワタクシでは力不足です」
「二人で遊ぶんだから力不足とか関係なくね?やっぱり欲求不満でエロいこと
考えたんじゃないのか?」
「…もうキミとは話さない」
「ぶっ…キミ…ウケる…キミって言われるの初体験。初体験してしまった」
「おかしいんじゃない?会社で初体験って連発するなんて…信じられない」
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