セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?
ここで小川課長、青田さん、高平さんが桐谷サンを見る。
「ハードル高いですね…」
桐谷サンがそう言う意味を図りかねていると
「彼はプログラマーよ」
「SEに仕様書を依頼してもいいですか?その仕様書に基づいて、俺が実際にプログラミングを行ってシステムを具現化させることは可能だけど、一からの構築は俺では時間が掛かりすぎる」
「了解。‘TEAM FUJIWARA’へは、すぐに私から依頼します。青田さん、高平さんは今ある業務を続けて、桐谷くんは手持ちを少し二人へ回してもいいから坂根さんとバーチャル試着始動に向けて準備出来ることは始めてくれる?」
「はい。ゆーあ、よろしく」
あっという間に私と桐谷サンがペアで始動することになった。
「坂根さん、企画広報部へようこそ。うちの会社説明も必要ないようだし、意見をはっきりと言えるし、これだから中途採用歓迎なのよ、私」
「結愛ちゃん、今みたいに出来上がったものだけでなく、出来上がってない意見もどんどん言うのがここでの仕事だよ?」
「ここでは、新しく何かを、っていうだけでなく、今動いているもの…例えば、ホームページとか広告とかに対する改善点なんかも出し合う必要がある。だから今のように他社を見て何かを思うのも仕事。よろしくね」
小川課長、高平さん、青田さんがそれぞれ私に声を掛けて自分のパソコンに向いたので
「よろしくお願いします」
立ったままだった頭を下げたあと
「桐谷センパイ、よろしくお願いします」
隣の席の彼にもペコリと頭を下げた。仕方ない…やりたいことが出来そうな今、5年前の数時間のことは富士山…いや…エベレストの頂上に放り上げてしまおう。