エリート航空自衛官の甘すぎる溺愛で囲い娶られました~敏腕パイロットの25年越しの一途愛~
 ただおじさんを追いかけるだけだった俺が自分で夢を見つけられたのがうれしかったらしい。

 もし彼がいなければ今の俺はいない。

 だから今も年賀状のやり取りだけは欠かさず行っている。

 本当は実結の前で過去の話をするかどうか悩んでいた。

 俺にとっては苦くもあり、今の自分を間違いなく形作る大切なきっかけでもある一件だが、彼女もそうだとは限らないだろう。

 それに、おじさんが助けに来てくれたときの泣きじゃくる実結の姿は、三十歳になっても忘れられない。

 もう一度腕の中に実結がいるのを確認し、どこにも行かないように抱きしめる。

「遅くなってごめんな」

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