俺様男子はお気に入りを離さない

「飴、舐めるか?」

御堂くんがポケットから可愛らしい包みの飴を取り出す。
ペリリと包を開ければ御堂くんはそのまま自分の口に放り込んだ。

あれ?
てっきり私にくれるかと思ったのに。

と思ってじっと口元を見ていると「口開けて」と言われて素直にあんぐり口を開けた。

――と。

「んっ!」

御堂くんに口を塞がれたかと思うとコロリンと飴が口の中に入ってくる。

それは一瞬の出来事で。

理解するまでに数秒は要した。

「イチゴ味。美味いだろ?」

「……」

何でもないように言ってのける御堂くんだけど。
だけど……だけど……。
これって口移し……だよね。

御堂くんの口に入ってた飴がキスと共に私の口の中へ入れられて……。

ひ、ひぃぃぃぃ!

理解したとたん体中の熱が顔に集まった気がした。
は、恥ずかしい!

「グレープ味の方がよかったか?」

「い、いいいいい、いちごでいいっ!」

コロコロと舌の上で転がる飴はなんだかとっても甘い。

動揺する私を楽しそうに見ながら、御堂くんは視線を窓の外に移した。
校庭からは部活動の音が聞こえてくる。
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