死にたがりやな君は、わたしのヒーローでした。
11時集合にし、近くの公園に着いた。




「お、お、」




おまたせー!が出ない。いやこれはデートではなく、ただ遊びに行くだけ。と自分に、言い聞かせる。



「こんにちは」

 

白色のひじくらいまでの裾の長さな服。
下は黒いズボンで、とてもシンプルだった。
青色のかっこいい上着を着ていて、私と同じく手さげカバン。

名前通り爽やかでシンプルな服装だ。

至ってシンプルなのに、無性にドキドキしてしまう。

めちゃくちゃ似合っている。



「…おまたせー」


やっと言葉が出せた。
今日は、あまりおどおどしないよう、しっかり行こうと思う。


「全然大丈夫です。行きましょか」



「ん!」


そして、私と爽玖くんは歩き出した。

歩くのが遅い私と合わせてくれている気がした。



−やばい。


全く会話が思いつかない。

毎回、気まずくならないように瞬間的に考えられるのに。



「えっと、水族館は行ったことある?」


「中学校で遠足で行ったことありますかね」


「ふーん。私も中学校で行った」


「この辺の人は水族館近いんだし、行くでしょうね」


…。会話が終わってしまった。

< 144 / 195 >

この作品をシェア

pagetop