【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~

三家合同茶会②

「クソッ、クソッ……がぁぁあ!」

 ――バリバリバリッ!

 フィースバーク侯爵オルゲナフは執務室のカーテンを思い切り引きちぎり、目の前の机を強く蹴りつけた……!

 その衝撃で山のように乗せられた紙束が崩れ、バサバサと床に散らばる。
 それらは、数々の差し押さえの知らせや借用書の類であった……。

(あの若造めが……くそ、リュミエールの身柄を盾に金をむしり取ってやろうと思っていたのに、こちらが下手に出ていると思って……まさか突っぱねるとは! ぐぉおお!)

 オルゲナフは地面にうずくまって髪をかき乱し、拳を床に何度も叩きつける。

(うう……あんな、あんなことが無ければ今頃は財政は立て直し……また領地を買い戻して……)

 彼は長女サンドラの王太子との婚約や、三女リュミエールとレクシオールとの婚約で、多額の支度金を懐に入れていた。本来それを適切に使っていれば、殆どの借金を返すことができ、現在の所領だけは十分に維持することは可能だった。

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