【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 すると二人は、くすくすと笑った。

「ケイティの御父様がいい先生を紹介して下さって、時々フィースバークの礼拝堂で練習させてもらっていたの。人前で披露できるものではないと思うのだけど……喜んで頂けて嬉しいわ」
「そんなご謙遜を……どこの茶会でもこのように本格的な演奏をなさる方はついぞおりませんもの。もっとご自慢されても良いかと」

 私は驚いていた……こと教養に関しては文句のつけようもない位である。お付のケイティがさらに鼻を高くしているのは悔しいが、これは認めざるを得まい。

(この方、もしかして隠れた逸材でいらっしゃるのでは……?)

 もう後は、宮廷舞踊と各種マナー位しか無いのだが……。
 リュミエール嬢とケイティが次は何を演奏しようかと楽しそうに話しているのを見ながら、私が頬に手を当て考え込んでいると、部屋の扉からコツコツと音がする。
 
「どなたです? 只今、フィースバーク侯爵令嬢に淑女としてのご指導を差し上げている所でして。特別な御用など無ければ……」
「パメラ、すまない。ちょっと入らせてもらうよ」
「ハイネガー伯爵……それと、えっ!?」
「…………どうだ、上手くいっているか?」
「こ、ここっ公爵閣下……本日はご機嫌麗しゅう」

< 74 / 341 >

この作品をシェア

pagetop