魔王の側近、妖怪と出会う【転生したら、魔王の側近でした×都の剣】
『主人!ここから東の方向にいます!』

「分かった!ありがとう」

とある魔王が構える館のある森の中。魔王、クラル・ディスペアの側近であるルーチェ・クロウディアは、館から1番近い町に最近良く出没するというモンスターを追っていた。

「……いた!」

ルーチェは、大きな狼の形をしたモンスターを見つけ、片手に持っていた、ルーチェの背丈ほどある黒い杖を握り直す。

そしてふっ、と短く息を吐くと、魔法を放つのに必要な詠唱をすることなく闇属性の攻撃魔法を放った。

大きな狼は、それをすべて避けるとルーチェに噛み付こうとする。ルーチェは、杖で攻撃を防いだ。

『貴様、呪具の使い手か……邪魔だ。一旦、消えてもらう』

大きな狼はそう言うと、遠吠えをする。ぶわりと凄まじい風が起きて、ルーチェの体は宙に浮いた。

そして、ルーチェはそのまま吹き飛んで、突然開いた黒い穴に飲まれて姿を消した。



とある町にある神社。

その神社で暮らす神条沙月(しんじょうさつき)は、同じく神社で暮らしている宮野葉月(みやのはづき)と一緒に縁側に座って、妖怪たちが境内を走っているのを眺めていた。

「ひとめ……また、あなたの仕業なのね?」

雪女・お雪の妹である、つららが落とし穴にハマっているのを見て、お雪は冷気を出す。
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