双子怪盗Ⅰ Mission:怪盗専門の"怪盗"
「なっ…!」

頭の上を、黒く大きな影が覆いかぶさった。

気付いたときにはもう遅かった。

「_ぃッ!」

石畳の床に打ち付けられた頭。

思わず押さえると、ズキンと鈍く痛みがはしる。

「ざまぁみろ、調子に乗るなよ。子供が!」

(うる…せー。)

そんな捨て台詞を吐くソイツを、俺は痛みに耐えながら睨み付ける。

「なんだ、随分とナマイキだなぁ?」

すると、諦めて抵抗しなくなったのかと思ったのだろうか。 

ソイツは余裕をもってツカツカと真上に移動し、見下してくる。

(でも…そんな無防備で来ると危ないよ?)

「俺は諦めてなんかないから。」 

シュッ!!

完全に油断しているであろうソイツの足元を、俺は自分の足でなぎ払う。

「うわぁぁ!」

そしてバランスを崩して転倒しそうなところへ、そのまま腹キック。

「うぅっ!」

膝から崩れ落ちるその警備員。

「…はぁ、頭痛え。」

その間に俺は起き上がって、ソイツの襟元を掴み、冷たい目で見下す。

「ヒィィ!」

「お前こそ、調子に乗るのは良くないぜ?」

トンッ…

冷たい笑みで俺は首の後ろを叩いてやった。

ザザッ!

「〈Sapphire〉大丈夫!?」

すると始末が終わった途端、インカムから悲鳴のような声が耳を引き裂く。

「だいじょーぶだって。」

(だってさ…、体力も知識勝負もまだ始まったばかりなんだから。)

俺は、ブルーの瞳をギラギラと輝かせ、光が溢れ出ている豪邸を見つめていた。
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