双子怪盗Ⅰ Mission:怪盗専門の"怪盗"
「…やっぱり覚えて無いか。私のこと。」

彼女は悲しげに目を伏せる。

「おい、俺を早く守れ!ライ!」

それに苛立たしく思ったのか、ガストンが彼女を急かす。

「家族を殴れるわけ、無いじゃない。」

が、彼女は持っている槍をクルリと回すと首元に突きつけた。

(…え?)

宝石の瞳は夜の光で赤みを増して、夜桜ごとくガストンを見下ろしている。

「俺に逆らうとは、どういうつもりだ!?」

「どうもこうも、こういうことです。」

ドンッ

槍を、刃が無い方にクルリと回して腹部に押し込む。

「ぐはぁ!」

呻いてピクリとも動かなくなったガストンをひと目見た彼女は俺達を見る。

「…とりあえず、脱出しようか?」
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