イケメン総長とキケンな関係 ~出会いは突然の入れ替わり⁉ 愛はそこから始まった~
「いや、そんなはずはない。
海翔が報告しに来ただろ、俺に。
恭雅と聖也から連絡があった。
恭雅と聖也が『白龍』の総長を連れてここに向かっていると」
「言ったよ、確かに」
「それに恭雅と聖也は見せているんだろ、『白龍』の総長に。
向陽茉蕗の(口を塞ぎ手足を縛り眠っている状態)画像を」
「うん、言ってた。
見せてる、って」
「画像を見て『白龍』の総長がここに向かっているということは、
『白龍』の総長は肯定していることになる。
向陽茉蕗と付き合っているということを」
『白龍』の総長さん。
なぜ否定しないの?
付き合っている、私と。
そういう誤った情報を。
「まぁ、確かに恭雅と聖也が俺に連絡してきたとき言ってたよ。
茉蕗ちゃん(口を塞ぎ手足を縛り眠っている状態)の画像を
『白龍』の総長に見せたとき、
言ったらしい、『白龍』の総長は」
言った、って……。
『白龍』の総長さん。
何て言ったのだろう。
「『絶対に手を出すなよ』と」
そう言った、の?
『白龍』の総長さんが?
「そう言ったときの『白龍』の総長の表情、
この世のものではないくらいの殺気に満ちていたらしい」
したの?
そんなにも怖い表情を?
『白龍』の総長さんが?
私のために?
「それを聞いた限り、
茉蕗ちゃんは『白龍』の総長にとって
特別な存在ということになるとは思うけど」
『白龍』の総長さんだって。
知らない、私のことを。
だから。
意味がない。
私の画像を『白龍』の総長さんに見せても。
そのはずなのに。
『白龍』の総長さんは。
私の画像を見て。
来てくれようとしている、ここに。
どうしてだろう。
「やっぱりあれかもよ。
茉蕗ちゃんが『白龍』の総長の彼女じゃないとしても、
ああいう画像を見て放っておける薄情な奴じゃないんじゃない?」
海翔さんの言う通り。
さらされている、危険に。
他人が。
そんな緊急事態のときに。
放っておける。
そういう人ではない。
『白龍』の総長さんは。
そんな気がする。
『白龍』の総長さんにとって。
全く知らない人、私は。
それでも。
連れ去られた。
そういうことを知ったら。
いられない、助けずには。
きっと。
そんな『白龍』の総長さんは。
正義感の塊みたいな人。
なのかもしれない。
そう思ってみたものの。
実際のところは。
わからない、全く。
会ったことがない『白龍』の総長さん。
そんな彼の性格は。
だけど。
思う、やっぱり。
『白龍』の総長さんは。
正義感の塊みたいな人。
そうなのかな、と。
だから。
来てくれるのだろう、救いに。
『白龍』の総長さんは。
全く知らない。
そんな私のためでも。
そんな『白龍』の総長さん。
どんな人なのだろう。