あの日からはじまっていた。
────ガチャ

「ただいま〜」

「……」

まだ帰ってきてないの!?
え……!?私学園内を探検して、見つけたスーパーで夜ご飯用にお買い物して、始業式が終わって2時間以上経っているんですが!?

私のお相手様は一体どこにいるの!?









────次の日 朝

結局、昨日の夜には帰っ来なかった。

もしかしたら、私が寝た後に帰ってくるかな?って思って作って置いておいたハンバーグ。本当に私の相手、いるのかな……?

そんなことを思いながら完成した朝ごはん。パンにたまごやレタス、ハムを挟んだサンドウィッチ。誰もが好きであろうサンドウィッチ!私が学校に行っている間に来てくれていたら食べてもらうために!



────「よし!準備完了!」

朝ごはんを食べて身支度を整えたらいざ、学校へ!
初めての高校!
って、昨日入学式があったんだけどね!

小学校、中学校に比べて高校はほとんど初めましての人たち。
よし!友達たくさんつくるぞ〜!!

「いってきます!」
大きな家に響き渡った私の声。
「……」
これじゃまるで同居というより一人暮らし……
でも、今日には逢えるよね!!



「…………」

「ねね、今日の夜ご飯なにがいい?」
「んーっとね、まなが作ってくれるものならなんでもいいよ」
「んー、やだー!もう〜!」

「はやと、だぁ〜いすき!」
「おれも!」

「…………」

無理、気まずい……。
クラスに行くために通学してただけなのに…。
私の周りには、たった一日で仲良くなったであろう同級生というか、カップル……
ただ通学してただけなのに、嫌でも聞こえてるカップルたちの声……
いいな、私もはやく運命の人に逢いたいな。
というか、私の運命の人どうして来ないのかな?風邪……とか?私みたいにワクワクしてたら寝れなくて風邪ひいちゃったのかな?……かわいい!はやく逢いたいな〜

そんなことを思いながら着いた私の教室。
(高校生活第1歩。いざ……!)

────ガラッ
「ねねーー!どうだった!?相手!!」
「もう最高!ほんとに運命の人だった!」

こ、恋バナーー!!
い、いいなー!

女の子たちの会話を聴きながら自分の席に移動する。私も、加わりたい。でも、私だけ運命の人にあっていない……。



結局一人のまま午前の授業が終了。
お昼ご飯を食べようと食堂へ。

授業はほとんど2人1組の授業が多くて私はずっと1人。どんどん距離が縮まっているであろうクラスメイトはもうラブラブ
はぁ……。運命の人、どこにいるの?

食堂でメニューを見ているとびっくりした。
だって、2人前のご飯しかないんだもん……
あれだよね?2人で1つのものを食べる。
恐るべし、七海学園。
どうしようと、おろおろしていると少し離れたところで私のようにおろおろしている女の子を発見!もしかして、あの子も1人!?誘ったら、一緒に食べてくれるかな?そう思い、その子のもとへ。

「あ、あの……。1人?」

そう話しかけると、ビクッと肩を震わしてこっちを向いた。か、かわいい……!
平均くらいの私の身長と比べてその子の身長は10cmくらい違う。お目目くりくりで肩くらいまでの髪の毛の内巻き。

「は、はい……?」

と、首をちょこんと傾けた。かわいい……
女の私でも可愛いと思っちゃうよ……!

「よかったら、一緒にお昼ご飯食べてくれないかな?私の相手休んでて食べりないんだよね…」

そうやってお願いして……

「ぜひ!!お願いします!私もどうしようか迷っていたんです!」

お、思っていたよりも返事がはやかったからビックしちゃった。

「……ほんとに!?ありがとう!何にする?」

「えっと、私はオムライスがいいです……」

遠慮しているのかだんだん声が小さくなっている。かわいい……!

「うん!じゃあそうしよっか!私もオムライスいいな〜って思っていたんだよね!」

それから私たちは、オムライスをひとつ買い、席へ移動した。


「私、柊希っていうの。1組の!」

「私は桃井るりです……。2組です。」

2組……!!合同授業とかあったら一緒になれるかな!?まだ先かもしれないけど夢できた!

「そういえば、るりちゃんはどうして1人なの?」

私は相手が休んでるからもしかして、るりちゃんもかな?

「……えっと、私は相手はあそこに……」

と、指さしたか先には……
食堂の隅っこで一人黙々と食べている男子がいた。黒髪でピアスもしていて、一見不良そうだけど、オーラはすごく優しそう。顔も整っていてあれぞまさに世の中で聞く"イケメン"!!

「すっごいかっこいいね!顔は整ってるし優しそう!」

率直な感想を述べるとるりちゃんは……

「……はい。私も始めはそう思いました。でも、話しかけても返事は返ってこないし、返ってきたとしても一言……」

そう言って言葉を切らせた。
あ、そういう系か。私、入院してる時に少女漫画にハマって、今では自慢できるくらい漫画持ってるんだ!そんな私からしたら、そうゆう流れは……

「どんどん話しかけるのみ!!」

そうしたら、いつかは仲良くなって、付き合っていたり……!!!

「わ、私にできるかな……?まだ1日しか経ってないのにもう心が折れそう……」

これも知ってる!こういうのはね……!

「大丈夫!折れそうになったら私に言って!なんでも話聞くよ〜!」

うん!友達が1番!!!

「……ありがとう……!!」

─────キーンコーンカーンコーン

あ、チャイム鳴った!
や、やばい!まだ全然食べ終わってないよ!ど、どうしよ!あと10分で授業が……!

「大変!一気に食べましょう!!」

「そうだね!!頑張ろう!」




な、なんとか食べ終わったけど、めちゃくちゃ短時間で食べるのき、きつい……
あれからは、5分くらいで食べ終わって、ダッシュで教室を戻ったからき、きつい。


午後の授業はお腹が痛かった。
それと、運命の人が家にいるとソワソワしながら受けたんだ。

「それじゃあ今日の授業は終わりです。さようなら」

授業が終わって速攻帰る!もしかしたら家にいるかな!?

「はぁ…はぁ…」

こんなに本気で走ったのいつぶり!?さっき、教室までを走った時ですらこんなにダッシュじゃなかった。お腹いっぱいだったからかな?
でも!今はそんなことはいい!運命の人に!はやく!

─────バタン

「ただいま!!」

「…………」

お、おかえりの声が返ってこない……。
いや、リビングにいるのかな?もしかしたら2階の自分の部屋とかかも!そしたら聞こえるはずがないよね〜だって2階だもん!

───コンコン
「失礼しまーす」

「…………」

そこはダンボールだけが積まれた部屋。

(結局、いないよね……)

そう思い、引き返そうとした瞬間。
窓からの光の反射によってなんかがキラッと輝いた。積まれたダンボールの上に大事そうに包装された写真立てがあった。それは、透明な包装紙に包まれていても分かるくらい綺麗でホコリいや、小さなゴミくずひとつも着いていなかった。
きっと、毎日のように綺麗にして彼にとってとてつもなく大切な宝物なんだな。

こんな大切なもの私には見る資格ないよね。
ない。ないってわかってるのに自然と体が……。

「やっぱり綺麗……」

ついに綺麗な綺麗な写真立てに手が……。

「……っ!」

……こ、これ……
私の小さい頃だ。10年前、私がよく遊んでいた公園での写真……。隣には男の子……。
大きな緑の木の前で幼い私はピースをして、幼い男の子は引きつった笑顔。懐かしいな……。

運命の人がなぜこの写真を持っているかは気にならないほど、この懐かしい写真に夢中だった。




─────次の日の朝
ガチャ

「失礼しまーす」

朝、起きてすぐに彼の部屋へ。私にとって彼の部屋で幼い頃の写真を見ることが日課になりそうだ。
まあ、人の部屋に勝手に入って人の宝物を勝手に見るのは良くないこととは分かっているんだけどね……

「よし!今日も1人で頑張ろう!!」


─────────────────────
ご飯はもちろん2人分!学校に行っている間に食べてもらう用と夜、私が寝てる時に食べてもらう用!
ま、まあ、まだ1回も食べてもらえてないんだけどね……でも!大丈夫!最近では、るりちゃんとお昼を食べてるし、友達だって順調にできてるし!でも、日に日にラブラブ度が増す友達を見ているとやっぱりいいな〜って思っちゃうよね……。あっ!そうだ!今日の放課後、学園長に聞いてみよっかな?だって、1週間も会ってないんだもん……!
この間なんか……新入生歓迎会を学園長が企画してくれてハート風船ゲームがあったのに…!みんな楽しそうな相手とハグしながら風船割ってたのに、私だけ1人で棒立ち!!みんなからの視線が痛かった……!!!もうやだー!!はやく放課後になってーー!!
こんな変なことを考えながら授業していたから全く内容が頭に入ってこなかった。


────放課後

よし、授業終了!はやく彼の行方が知りたいから速足で。高校が始まって1週間。ずっと1人で歩いている私はもう有名人。相手がいないとか、可哀想とか。今ももちろん1人だから周りからの視線を浴びているんです。は、恥ずかしい……。
人気の少ない廊下に出て、大きな扉の前。
(こ、ここが学園長室……)
知ってはいたけど、おっきいいっー

────コンコン

「失礼します」

中に入ったらびっくり。テレビとかでよく見る社長のお部屋みたい……。とっても大きいお部屋にお客さん用の大きな椅子に机。どれもピッカピカ。

「あら?どうしたの柊さん」

その奥のもっと大きな椅子に座っているのが学園長。

「あ、あの、えっと……」

圧倒されておろおろしている私に対して

「どうしたのじゃないわね。パートナーのことでしょ?」

すごい……さすが学園長……!

「はい。1週間経っても相手が来ないって、私もしかして嫌われてますか?」

「ふふ、そんなことないわ。私からもお願いしてみるわ。明日には来てもらえるように。」

……!?

「ほ、本当ですか!?お願いします……!!」

すると、学園長はニコッと笑って、

「ええ。1週間もごめんなさいね。寂しかったでしょう。」

「ま、まあ、それなりには。でも大丈夫です!明日には逢えると聞いてもう元気です!」

「ふふ。楽しみにしていてちょうだいね!」

「はい!それじゃあ、失礼しました!」

─────ガチャ

…………

本当に!?どうしよう!楽しみすぎる!!
はやく明日にならないかな!?
てゆうか、男の子ってどんな食べ物が好きかな?唐揚げとかハンバーグかな?!よし!明日は奮発しちゃおう!

うきうきした気持ちのまま家に帰る。
明日は、夜遅くまでトランプとかして遊びたいから今日は早く寝よう!





─────次の日の朝

毎朝恒例の彼の部屋で写真を見る会!今日から来るからこの行事今日でもう最後かなー?

ガチャ

「失礼しまー…………っ!?!?」

「……あ゛?なにお前勝手に人の部屋入ってきてんの?」

そ、そ、そこには、いるはずがない男子……

っ!?

「……っ失礼しましたっ!!」

ガチャ

え?待って待って、分からないんだけど!
なんであそこに男子が?しかもダンボールが消えて部屋が綺麗になってたし。え?どゆこと?

パニックになりながら1階へ

「え?本当にどうゆうこと?なんであそこに男子が?」

1人で呟きながら1階のリビングをうろうろうろうろ。
すると、

ガチャ

さっきの男子が1階に降りてきた!!
!?やばい、心臓一瞬止まった!え?え?どうゆうことなの!?

────トコ トコ

男子が降りてくる様子を私はただじーっと見ていることしかできなかった。

…………

「……あんた、まじでどうゆうつもり?」

「え、えっとー、運命の人ですか……?」

おそるおそる尋ねると……

「……あ゛?俺、あんたと結婚ごっこするつもりないから。」

……今の一言で私の頭の中は真っ白。
そ、そうだよね……。1週間も来なかったんだもん。風邪なわけないじゃん。ただこんな学校に来たくなかったんだよね……。何浮かれてんだろ、私。

「……そ、そうですよね。ごめんなさい……」

────ダダッ

もう、その場から逃げるしかなかった。だって、あそこにいたら私……。
せっかく、パパやママ、弟が頑張ってくれたのに金の卵の夫婦(ゴールデンカップル)どころか、
そのスタートラインまで行けなかった……。
何浮かれてたんだろ、私は……。



何分くらい経ったのかな……。
寝起きで髪の毛もボサボサのまま飛び出してきちゃった……。多分もう学校は始まってるし、今日はもう休もう……。もともと、お祝いだと思っていつもより1時間も早く起きていたから多分相当時間が経ってる。

(はぁ……そろそろ帰らないと……)

────ピンポンパンポーン

「院瀬谷新、院瀬谷新、至急学園長室へ。」

これって、あの人のことかな……?

昨日、気になって名前だけは学園長から聞いておいたんだ。

今は、家にいないと思いから早く帰ろう。



ガチャ

「……ただいま」

「……」

よかった、いない……。

……はあ。今日はもう自分の部屋でゆっくり過ごそう。

────コト コト

朝から衝撃すぎて力がない。こんなにゆっくり登っていたら院瀬谷さん、帰ってきちゃうよ……

ガチャ

なんとかたどり着いて自分の部屋へ。

ぼふっ

……はぁー。ふかふかの布団。落ち着く………………

「…………」






「……ふぁ〜……寝ちゃってた……」

いつの間にか寝てしまっていた。さっきまでの重たい体がびっくりするほど軽くなった。

「……んー」

軽くなった腕で大きく伸びをした。

「……はぁ」

……ん?伸びをした腕を着いた場所はやけに硬かった。布団だったらボブってなるばす……。
……おそるおそる横を見ると……。

「スゥ……スゥ……」

「……い、い、院瀬谷さん!?!?」

こ、こわい!横にはなんと院瀬谷さん!!!
な、なんでいんの!?え!?どうゆうこと!?

「ん……」

パチッと目を開けた院瀬谷さん。

「……ののちゃん……」

そう言いながら私に抱きついてきた院瀬谷さん!!!?

「……え、えー!?どうゆうこと!?」

私の叫びに今度は完全に起きた院瀬谷さん。

「あ、あの……これはどうゆう!?」

おどおどしている私とは対照的に真面目な様子の院瀬谷さん。

「ののちゃん……やっと逢えた……!」

え、えーーーー!?
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