あの日からはじまっていた。



院瀬谷さんと話をまとめるとこうだ。

私が昔遊んでいたかわいい男の子は院瀬谷さんで急に遊びに来なくなった私をずっと心配していた。
そして、衝撃の事実。
院瀬谷さんは、あの超有名な院瀬谷財閥の息子ということ。

説明された後のことはほとんど覚えていない。だって、衝撃すぎる。腰抜かすかと思ったよ!
そんな偉大な方と私が毎日のように遊んでいたなんて……!!

あ、ちゃんと事故に遭って遊びに行かなくなったことは説明した。

そしたら、院瀬谷さん、あその頃の自分のこと恨んじゃった。どうして、気づけなかったんだって。

私、笑っちゃったよ!久しぶりに!


で!今日は第2の高校生活スタートの日!

「院瀬谷さん〜、サンドウィッチでいい〜?」

「ののちゃんが作ってくれたものならなんでもいい!てゆうか、その苗字呼びでさんってやめない?」

え?突然変なことを言い出した院瀬谷さんにびくっくりしすぎてサンドウィッチを作っていた手が固まる。

「え?いや、財閥の息子だよ?」

「ののちゃんは関係ない。だって、俺の好きな人だもん…………」

……ん?最後の方は声が小さくなって聞こえなかった。

「ん〜、じゃあ、院瀬谷くん?」

さんからくんに!グレードアップ!

「やだ。新がいい」

……まさかの名前呼びで再開していた手が再び止まる。

「いやいや、さすがに名前呼びはねー無理だよ」

「なんで?小さい頃はしんちゃんって呼んでくれてたじゃん」

「……はははー」

小さい頃のことをもってこられたら何も言い返せない……

……

「……はい!サンドウィッチできたよ〜」

うん!話をそらすのが1番!

「話しそらさないでよ」

と、いいながらムスッとした顔をしてサンドウィッチを食べ始めた院瀬谷さん。

なんか、名前は迫力あるのに中身はかわいいんだよね〜。

「……昔から変わらないねののちゃんは。かわいい……」

……ん?またまた小声の院瀬谷さん。

「なんか言った?」

「……別に」

かわい……

ふと、時計を見ると、!?

「大変!もうこんな時間!急ご!新ちゃん!」

「!?」

時計を見るといつも私が家を出ていた時間の10分前!どうしよう!準備終わってないよ!

「……」

食べる手を止めて、固まってしまった新ちゃん

「どうしたの?はやく!」

顔を真っ赤にさせて、手で口元を押えている新ちゃん。

どうしたんだろ?

「とにかく急ご!」

寮生活と言っても、寮から学校まで結構ある。
なにしろ敷地が広いんだよね〜

「……大丈夫ゆっくり準備して」

と言った新ちゃん。

やさしい!でも、さすがにゆっくりはできないな。はははー


────15分後

「あーー!!どうしよう!間に合わなかった!!急ごう!新ちゃん!!」

と思ったら、新ちゃんは電話中。やばい声入っちゃったかな?どうしよう!

「……うん……よろしく」

プツッ

おわった?

「ののちゃん、外で待ってよ。」

待つ?いや、行こうよ

ガチャ

ドアを開けてエスコートしてくれた新ちゃん。

「あ、ありがとう」

ブーン

と、思ったのもつかの間。なんと、寮の外には真っ黒いぴっかぴっかの車!?!?

「……な、なんだろ、あの車……」

「来て」

そう言いながら車の方へ。

ガチャ

なんと、車の中からはあのよく知られる執事と言われる方が出てきた。

そのまま後ろのドアを開けると、

「どうぞ。新おぼっちゃま」

……おぼっちゃま!?!?

驚きすぎで固まっている私とは対照的にすんなり受け入れて、車の中に入ると、

「ののちゃん、乗って」

いや、乗れないよ!!こんな高級車!!

でも乗らないと学校が……!!

どうしよう!!

中から手招きしてくる新ちゃん。

ここはお言葉に甘えるしかない!

「……よ、よろしくおねがいします」



それから、何分だろう。いつもなら10分かかる学校がほんの3分で着いちゃった……。

お、おそるべし!


ガチャ

「どうぞ。」

「……あ、ありがとうございました…」

「……きゃあーーーー♡♡」

「!?!?」

車から出ると外から歓声という名の悲鳴が!

えっ!なに!?

すると、みんなの目の先は……新ちゃん!?

「あれが!院瀬谷財閥の御曹司、新さん!?」

「か、かっこいいーー!!」

あ、どうやら視線を集めているのは新ちゃんらしい。

ま、まあかっこいいもんね……

「し、新ちゃん、急ごう。授業始まっちゃう」

自分でもびっくりしちゃった。

新ちゃんがとられるの思っちゃったの。

嫉妬……だよね。







─────放課後

「ののちゃん、来て」

「ん?」

放課後になって帰ろうとしていたら、新ちゃんに呼び止められた。

どうしたんだろ。真剣な顔で

腕を引かれてどこかに連れていかれる。

とゆうか、視線が痛い……。

朝の出来から新ちゃんは一気に有名人。

どうしよう、やだ……


連れてこられた場所は、なんと、チャペルの塔

なんで、ここ……。

固まっていたら、なんと新ちゃんが跪いた。

「ののちゃん、再開したばかりで軽いって思われるかもしれないけど、俺、ののちゃんがずっと好きだった。」

「っ!」

息を飲んでしまった。まさか、新ちゃんが……

あんなにモテモテだから選び放題なはずなのに……

「俺と、結婚を前提に付き合ってください」

……どうしよう、自然と涙が……

目の前には跪いた新ちゃんと綺麗な箱に入った指輪

「これっ……!」

「結婚を前提にだから、指輪
受け取って」

っ!!!うれしい、うれしい……!

「私でいいの?」

「ののがいい」

不意打ちな名前呼び、しかもちゃんが付いていなかった。

「……よろしくおねがいします」

そのまま私はへなへなと地面に崩れ落ちた。

これを言うのが精一杯だった。

すると、新ちゃんはお花が咲いたように笑顔になって、言った。

「絶対に大切にする!!!」

すると、地面に崩れ落ちたまま新ちゃんはそっと、優しく、私にキスをした。



END



< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop