夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
「それで。どんな用だ?」
「あ、え、と……」
 ただ、なんとなくランスロットに会いたかったのだ。これといった用があったわけではない。だから、このように聞かれてしまうと回答につまってしまう。
「あの……。父と弟のことを……」
 先ほどまで考えていた家族のことを、口にした。
「ああ。そうだったな。結婚式では、君の家族にも迷惑をかけたし、心配もかけた。君が無事だったことは知らせておいた。喜んでいたよ」
 リャーリーは、ランスロットがそうやって家族に連絡をしていた事実に、胸が温かくなった。
「ありがとうございます」
「もしかして、それがずっと気になっていたのか? そうだよな。君にとっては家族だしな。伝えていなくて悪かった」
「い、いえ……」
 シャーリーは恥ずかしくなり、目を伏せた。小さく息を吐いて、気持ちを落ち着かせる。
「あの……」
 ランスロットにもっと近づきたいと思いながらも、やはりシャーリーはそれを口にすることができなかった。
 そして、ふと気になっていたことを思い出す。
「今日、イルメラさんがエントランスまでお迎えに来て下さったのですが。一体、何があったのでしょうか?」
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