ゆめものがたり
第1章 子どもの頃からの夢

帽子をかぶったおじいちゃん

今日は秋晴(あきば)れ。

道を通ると虫(むし)の音(ね)が、りー、りーと良く通る。

その澄んだ響きは、心の奥にある硬いものを溶かすようで心地よい。

ここは神奈川にある小さな山。

先生達と小学生の子ども達が、山の上にあるキャンプ地まで歩いている。

先生「ほら、もうすぐだよ。がんばって」

後ろから先生の声が聞こえる

「もうへとへと」

「腹へったー」

とばてている子、

列を乱して制せられる子、

興味のなさそうな子、

子どもも色々。

子ども達が道を進んでいくと、帽子をかぶったおじいちゃんが前からやってきた。

おじいちゃんは列の横をすり抜けていく。

そして背の高い男の子の頭にポンと手を乗せた。

背の高い男の子「?」

男の子がおじいちゃんの顔を見ると、おじいちゃんはしばらくニコッと微笑んでいたが、

そのまま去っていった。

後ろから他の子が、

「お前、あの人と知り合いなの?」

と聞くが、男の子には全く記憶のない人だった。

「変な奴」

他の子供達が口々に言う。

先生達はその様子を不思議そうに眺めていた。

おじいちゃんがいた事など気づかなかったかのように。

背の高い男の子はその晩、夢を見た。

真っ暗闇の中、石が浮いている。

その上には足を組んで、遠足の時のおじいちゃんが座っていた。

※この話は全てフィクションであり、実在の人物や団体などとは一切、関係ありません。
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