幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
 「もしかして、あの、妹のアルバイト先ですか?」
 「多分そうですね。素子さんのお兄様ですかね?」
 「はい。妹がお世話になっています。大丈夫でしょうか?」
 「ええ、よくやってくれてますので大丈夫です。では、今日はこれで、またよろしければおいで下さい。コーヒーおごります。」
 「ありがとうございます。妹をよろしくお願いします。じゃあ、篠原また月曜な。」
 木下さんはそう言って角を曲がって帰って行った。

 奏ちゃんが黙っている。なにかいやな雰囲気。
 怒るときいつもこんな感じだし。
 「……あ、あのさ、奏ちゃん。ごめん、今日忙しくてね。」
 奏ちゃんが突然腕を引いて、私を引っ張っていく。
 「え?ま、待ってよ、家に帰りたいよ。」
 「うるさい。おばさんには連絡済みだ。」
 「どういうこと?」
 「とにかく、家に来い。」

 奏ちゃんが怖い。
 とりあえず、こういうときは黙って従うのが一番だと長年学んでいる。

 裏から、家のほうに入る。
 黙って、二階にあがっていく。
 お邪魔しますといいながら、付いていく。
 明るいリビングのドアが開いて、奏ちゃんの後を入ると、突然腕を引かれて抱きしめられた。

 
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