幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
 
 「もう帰したくないな……緑、一緒に住もう。」
 「奏ちゃん、落ち着いて。」
 「今までの我慢が解き放たれて限界に来た。今更付き合う必要なんてない。」
 「どういう意味?」
 「俺のものになれ。」
 「え?」
 「緑、嫁に来い。結婚しよう。」
 「……奏ちゃん、昨日の今日でそれはないんじゃないですか……。」
 「いやなのか?付き合って、別れて、俺以外の別なやつと結婚する気か?緑は絶対誰にも渡さない。」

 奏ちゃん、こんなに感情的な人だったの?
 私の知らないところがまだあるのね。

 「……奏ちゃん、愛子さんにもそんなこと言ってたの?」
 つい、小さな声で問い詰めるように聞いてしまった。
 付き合うとこういう人になるのかと思うと前の彼女が気になる。
 
 奏ちゃんは、恐ろしい顔で私を見た。怖すぎる。
 「緑、どういう意味だ?俺のこと何だと思ってる?」
 「だって、付き合うとこんなに束縛したがるし、どうして愛子さんと別れたの?」
 「……お前のせいだよ。」
 「は?」
 「お前が好きだと思ったから別れたんだ。」

 なんで、じゃあ今まで。
 
 「ごめん。店はじめた時にお前を雇って、ほぼ毎日一緒にいただろ。忙しくて余裕もなかった。だけど、毎日会えるし他の女はいらなかったんだ。お前が就職してから本当に寂しかった。まあ、しょっちゅう顔を見せるから、それで満足してずるずる来てしまった。お前があいつと付き合うかもと青に脅されて、今度こそまずいと腹くくった。先に気持ちを言わせて悪かった。」
 
 
 
 
 
 
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