幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
 菜摘ちゃんには、というかお兄とか親とかにもバレてるくらい、奏ちゃんへの片想い歴は長い。
 一度、高校時代に告ろうかと思うくらい好きだった。でも、兄や唯さんとも仲良く、部活も一緒だった三人に入る余裕は無かった。大学時代に奏ちゃんが吹奏楽部の同期と付き合ってるのを見て、ますます言えなくなった。話しかけることもなくなり、距離ができた。私もさみしさから、お付き合いしてみたけど続かなかった。奏ちゃんに会える距離のせいで、忘れられないし、つらくなる一方だった。
 
「教えてくれてありがと。菜摘ちゃん。ライバル登場かあ。ていうか、ライバルになるのかなあ、今の私の立ち位置で。」
「もお、緑ちゃんしっかりしてよ。味方してあげてるのに。ていうか、お兄も煮え切らないよね。緑ちゃんのこと気に入ってるのに。」
「状況によっては、あと半年後の奏ちゃんへの誕プレを考えようかな。わかりやすく。」
「え?!まさか、指輪でも贈るの 笑」
「あは。ピアスとかね。」
「なるほど。っていうか、それ前もやってだめだったやつじゃん。」
「言わないで。」

 その後、帰ってきても眠れず、寝酒代わりにワインを飲んでいた。
 気づいたら、ワインの瓶が転がっていて、朝を迎え、絶賛二日酔い。
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