幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
 すると、後輩の水木さんが椅子を寄せてきた。
「篠原さん、この見積り来週までで大丈夫ですか?」
「うん。出来れば月曜午前中見せてくれる?チェックして午後には上に回すから。」
「……それと、おふたりって実は付き合ってます?」
「え?付き合ってないよ……。」
「そうですか?なんか、同期から聞かれて。おふたり前からいい感じだけど、よく見ると木下さん、今日も篠原さんのことジーッと見てるし。言われてみれば、そうかもって気付いちゃいました。」
 水木さんは、得意げに話す。
「なんか、先週夕飯奢ってもらっただけなんだよー、やだなぁもう。」
「そうですか、そうですか。まぁ、分かりました。」
「やだ、誤解しないでね。」
「木下さん、モテますからね。私は、カレがいるので、興味ナッシングですけど。同期には狙ってるのがいるみたいだし。木下さんのこと、実はよく聞かれてたんですけど……私、同期より篠原さんのみ・か・たですよ。」

「だから、もう……わかった。とにかくありがとう。」
 水木さんのニヤニヤを見て、ため息をつきながら、パソコンに向かう。
 木下さんの返事、明日っていうことだよね。
 私、奏ちゃんのことどうしたいのか向き合わないとダメだよね。下を向いてまた、ため息を吐いた。
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