Triangle Love 7 ~ 揺れる心は夏の蝶 ~
4限目の授業が終わって、昼休みになった。

何とか午前中の授業を乗り越えることはできたみたいだ。

睡魔には勝てなかったけど。

授業内容の記憶は一切ない。

『あれれれぇ?ミツバちゃん、寝不足?』

机に突っ伏していると、あたしの席の前に現れたモトコちゃんから話しかけられた。

モトコちゃんはあたしと一緒にご飯を食べる為にやって来てくれたようだ。

ゆっくりと顔を上げた。

『うん…。いつも眠いけど…。今日は特にヤバい…。後でノート貸して…。』

『いいよぉ。何かあったのぉ?』

『別に大したことはないんだけど…。その前に、ご飯食べよっか。』

そう言ってあたしの机に、前の座席の子のイスをくっつけた。

当然だけど、許可は取ってある。

机の上にそれぞれの弁当箱を広げた。

ご飯を食べながら、ヨウの家に泊まる話が出ていることをモトコちゃんに説明した。

『ふんふんふん…。えぇっ!お、お泊…!』

『声に出さないで!』 

『ふがっ!』

慌ててモトコちゃんの口を塞いだ。

助かった。

休み時間の教室はめちゃくちゃ騒がしい。

誰にも聞かれていないようだ。

というのも、この学校の恋愛に関する噂の広まる速さは尋常じゃない。

油断すると、一瞬で広まる。

最近では、二股をしたっていうあたし達のクラスメイトのことが、学年中で話題になっていた。

多分、他におもしろいものがないから、誰かの恋愛話が楽しんだろうと思う。

うん、まぁ。

あたしも噂話は大好きなんだけどね。

情報通のモトコちゃんから、頻繁に噂話を聞かせてもらっている。

『とにかく!普通に泊まるだけって感じ。』

『ごめんねぇ。ふふふふふっ…!ミツバちゃんがねぇ。ついにだねぇ!大人の〜か〜いだん~ん~♪』

しまった。

この状態のモトコちゃんは限界までイジってくる。

あたしには手がつけられない。

モトコちゃんは、他人の恋路が大好物だ。

そのせいか、もう何十組ものカップルを誕生させているらしい。

本人が知っているかは分からないけど…。

裏では、歩くマッチングアプリとか言われている。

『なんもないから!ご飯食べて寝るだけ!』

『かいだん~ん♭~ん♯~♪』

『変な歌を歌わないで!』

明るいモトコちゃんと話していると、少しだけ気が楽になった。
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