Triangle Love 7 ~ 揺れる心は夏の蝶 ~
お泊まり会まで残り3日に迫った、ある火曜日。

学園内の渡り廊下で偶然、ツクシくんと出会した。

学年が違うと全く会わない上に、あたし自身が彼を避けるようにしている。

だから、滅多に顔は合わせない。

このタイミングで会うなんて。

偶然じゃない…?

ツクシくんに呼び止められた。

『先輩。少しお話いいですか?』

『…なに?』

『場所を変えませんか?学校の廊下だと、聞かれたくない話も誰かに聞かれちゃうかも…。』

『…そうだね。』

静かに頷いた。

あたし達は人気のない校舎裏に移動した。

身体中が強張っている。

握り拳に力を入れた。

話ってなに…?

『ミツバちゃん。金曜日、泊まりに来るんだね。驚いたよ。母さん、騒いでた。兄さんも珍しく浮かれちゃって…。』

冷静になって考えると、このタイミングで話すことなんてひとつしかない。

やっぱりお泊まり会のことだよね…。

あたしには謝ることしかできない。

『…ごめんね。』

『いや…。それはいいんだ…。えーと…。』

『…?』

『…呼び出しておいてごめん。なんでもないや。忘れて。じゃあね。』

そう言い残して、ツクシくんはそのままどこかへ行ってしまった。

様子がいつもと違う。

何を言おうとしたんだろ…?

何となくだけど、今のツクシくんは昔のツクシくんみたいだった。
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