Triangle Love 7 ~ 揺れる心は夏の蝶 ~
幸せ過ぎた週末を乗り超え、月曜日がやって来た。

授業を終えて、その放課後のこと。

あたしは、先日訪れた空き教室に居た。

モトコちゃんと話す為だった。

イスに座ってしばらくの間待っていると、モトコちゃんが教室に入って来た。

『おまたせぇ。用事終わったよぉ。』

そう言ってモトコちゃんは、イスに座った。

机をひとつ挟んで、その先に置いてあるイスだ。

あたし達は向かい合わせの状態になった。

秘密を話す訳でもないのに、なんとなく緊張した。

ここ数日のあたしは、ずっと緊張している気がする。

『ありがと、来てくれて。』

『全然良いんだよぉ。デートは楽しかった?』

今日話す内容について、モトコちゃんはもう分かっている。

一番気になっているはずのことは、今から言うんだけど。

『楽しかったよ。とっても。』

『良かったんだよぉ。』

『はい、これ。お土産。全部お菓子なんだけどね。』

『あ、お土産だぁ!嬉しいんだよぉ!ありがとねぇ。』

あたしは、水族館で買ったサカナの形をしたクッキーと、遊園地で買った園内にいるキャラクターのチョコクランチを渡した。

モトコちゃんの緩んだ笑顔を見ることができて、あたしも嬉しい。

『あのね。で、でもね…。』

『うん…?』

一瞬だけ下を向いてしまったけど、すぐにモトコちゃんの方を見た。

思っていることを口に出した。

『あたしって、本当に2人のどっちかと付き合わないといけないのかな…。』

『また振り出しに戻ってるんだよぉ…。』

あたしが漏らしてしまった弱音に対して、モトコちゃんは表情を曇らせた。

自分で弱音を吐いておいて、どうかとは思うけど、もうこれ以上、モトコちゃんを心配させたくはない。

机に手をついて身を乗り出したあたしは、はっきりとした声で言った。

『だよね。ごめん、今のは忘れて。もう大丈夫。後は勇気を出すだけだから。』

『本当に大丈夫?勇気って、何のことか分かってるのぉ…?』

『好きだって伝える勇気と、好きだからこそ振る勇気…。』

『…ミツバちゃんを信じるんだよぉ。がんばれぇ!』

モトコちゃんは笑顔でそう答えてくれた。

この決意表明も、正確には強がりだってバレているとは思う。

それでも…。

強がりだとしても、あたしはもう決めた。
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