魔女の瞳Ⅳ

現実

「桜花ぁっ!!」

私は立ち上がった。

…教室のクラスメイト達が、全員私に注目する。

「…どうしました?四門さん」

教壇に立つ古文の教師が、目を丸くして私を見た。

「い…いえ…」

恥ずかしさに頬を熱くしながら、私は着席した。

…何とも嫌な夢を見たものだ。

桜花があんな酷い目に遭わされるなんて。

お陰で背中にびっしょり汗をかいていた。

「メグ」

隣の席に座っていた修内太が声をかけてくる。

「どした?珍しいじゃないか、お前が夢で魘されるなんて」

「……」

バツが悪いので黙っていた。

確かに珍しい。

修内太と初めて会った時以来かしら、魔女狩りの頃の夢なんて。

しかも、桜花が魔女狩りの拷問を受ける夢。

そんな事は有り得ない。

桜花は現代の魔女だ。

それに『あの男』はもう死んだ。

あの夢にあった事なんて、絶対起きる筈ないのに…。

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