「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「ロメオ・ボルディーガです。こちらは、妻のマルタ」
「ボルディーガ侯爵、侯爵夫人。はじめまして。ナオ・バトーニと申します。本日はお招きいただき、ありがとうございます」
「ナオ、わが家へようこそ。それから、バリオーニ帝国に来てくれてありがとう。ここでの生活を気に入ってくれているといいんだが」
「はい。とっても」

 侯爵に問われ、即座に答えていた。

 侯爵と視線が合って驚いてしまった。

 エルマにそっくり。

 五十代前半くらいかしら?スラッとしていて渋カッコいい。ちょっとだけブラウンの髪がすくない気がしないでもないけれど、それは年齢相応に違いないわね。
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