「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「ジルド皇子にから、陛下から許可を得ていると。ですので、歓迎会を開催いたしました」

 フランコに睨まれた宰相は、平気で嘘をついた。

「なにを言うかっ!おまえが勝手にやったんだろう?デボラにせがまれてな。おれのせいにするな」
「なにを言うのよ、このへっぽこ皇子。せがんでなんていないわ。『生意気なよそ者に恥をかかせたいわ』ってつぶやいただけよ。あなただって『正当な皇帝であるおれをさしおいてふんぞり返っているあいつに目に物みせたい』って、いつも言っているでしょう?」
「このバカなクソ女っ!顔がいいだけの悪女のおまえをおれの女にしてやっているのは、おまえのハゲ親父を利用する為だ」
「なんだと、このバカ皇子っ!娘を侮辱するばかりか、わたしをハゲ呼ばわりしよって」

 まぁ、なんてことかしら。

 見苦しい内輪もめが始まったわ。

「だまれっ!」

 フランコの怒声で、醜い言い争いをしている宰相たちの動きがピタリと止まった。
< 147 / 175 >

この作品をシェア

pagetop