「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~

お姉様がやって来た

 ドラーギ国の統治のゴタゴタは、あらかた片付いたらしい。

 以前と同じように、またフランコといっしょにすごしている。

 約束していた遠乗りにも行った。それから読書をしたり散歩をしたり話をしたりと、することはたくさんある。ときには、エルマとカストと四人で乗馬を楽しむこともある。

 カストの乗馬の腕がすごいことに、そのときになってはじめて知った。

「わたしより乗馬の腕がなくっちゃね」

 エルマは、常々言っている。

 はたしてその意味は、彼女が認める相手のことなのか、それとも認める男性のことなのかはわからない。

 だけど彼女が認める相手にしても男性にしても、カストはクリアしている。
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