「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 ボルディーガ侯爵夫妻にバルナバ、それから侯爵家の使用人たち、皇宮で働いている人たち。内輪だけで食べたり飲んだりする。

 一国の主としては型破りな式だけど、すっごく楽しみにしている。


 アロイージ王国に出発する前、フランコと書斎で会った。

 見送りはするけれど、二人っきりになりたかったからである。

「行ってくるよ」
「フランコ様、処分はご随意に。わたしのことはお気になさらないでください。ですが、私情は……」
「ナオ、わかっている。だが、きみに傷を負わせたのは事実。これは、きみにかぎらない。他人を傷つければ、それなりの罰が科せられる。だが、やはりダメかな。きみの腕や足の傷が脳裏を横切れば、きっと剣を抜いてしまうよ」

 彼には、侯爵夫人がそれとなく話をしてくれた。
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