「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 カストは、わたしを宮殿に連れて行ってくれた。

 かんがえてみれば、わたしは無理矢理ついて来ているようなものである。

 軍の官舎の倉庫とか、宮殿内の用具入れとか、そんなところでも文句は言えない。

 ただ、しばらくは置いてもらいたい。

 はじめての国である。

 というよりか、物心ついてからずっと王族に仕えてきた。聖女として、妃候補として。

 王都から出たこともなかった。

 それに、わたしが出来ることと言ったらごくわずか。

 料理やお菓子作り、掃除洗濯、こういった料理や家事は人並みには出来るけれど、それが侍女やメイドとして通用するかと言えばかなり怪しい。

 それ以外に出来ることは、正直ない。
< 23 / 175 >

この作品をシェア

pagetop