「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「アロイージ王国の出身であるナオには申し訳ないが、本来ならわが帝国軍が攻め滅ぼすべきだ。だが、自滅してくれればそれにこしたことはない。そうだな……。カスト、たしかにおまえの言う通りだ。まぁ、いますぐのことではない。王族への処分と統治については、おいおいかんがえよう。カスト、さしあたって工作員を大量投入してくれ。王都だけでなく、王国内全域にな。それで、密かに流させるんだ。「困ったら、バリオーニ帝国を頼れ」、と。実際、頼って来たら惜しみなく援助しよう。物資や労働力などすべてのな。国王の愚かさは、民衆には関係のないことだ。ナオ、かんがえられる災厄はなんだ?」
「陛下、一番かんがえられるのは水害です。アロイージ王国の中央に山脈があるのですが、そこが水源です。雨が降りやすく、ダムを築いています。かなりの規模です」
「雨が降り続ければ……」
「ええ、カスト。ダムは決壊し、各地は水浸しになる。そうなれば、農作物がダメになってしまう。もちろん、それ以外でも。甚大な被害を被ることになるわ」
「カスト、いいな?」
「あらゆる事態を想定し、対応出来るようにしておきます」
「というわけだ、ナオ。出来るだけ民には被害がでないよう努力はする。きみは、なにもかも忘れて、というわけにはいかないだろうが、出来うるかぎりここでゆっくりすればいい。これまで孤軍奮闘し、耐え忍んできたんだ。のんびり気ままにすごしたってかまわないだろう?」
「ですが、陛下。わたしは……」
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